最終更新日:2026年8月24日
歯間ブラシが臭い・血が出るのはなぜ?原因と受診目安、正しい使い方
「歯間ブラシを使ったら嫌な臭いがした」
「毎回同じ場所から血が出る」
「奥歯に入れると出血するけれど、このまま使って大丈夫?」
歯間ブラシを使い始めると、こうした変化に気づくことがあります。
歯と歯の間は、歯ブラシだけでは汚れを落としにくい場所です。
そのため、歯間ブラシを通したときに、今まで残っていた食べかすや歯垢が取れて臭いを感じたり、炎症のある歯ぐきから出血したりすることがあります。
今回は、歯間ブラシを使ったときに臭いや出血が起こる理由、様子を見てもよいケースと歯科医院へ相談した方がよいサイン、歯ぐきを傷つけにくい正しい使い方について、歯科医師の視点からわかりやすく解説します。
歯間ブラシで臭い・血が出るときにまず見るポイント
歯間ブラシを使ったときに臭いや出血があると、「何か悪い病気なのでは」と心配になるかもしれません。
ただ、原因は一つとは限りません。
まずは、臭いだけなのか、出血もあるのか、どの場所で起こっているのかを確認してみましょう。
臭いだけなのか、出血もあるのか分けて考える
歯間ブラシを抜いたときに臭いがするものの、痛みや出血がない場合には、歯と歯の間に残っていた食べかすや歯垢が原因になっていることがあります。
特に、
- 奥歯
- 被せ物やブリッジの周囲
- 歯並びが重なっている部分
- 歯と歯の間が広くなっている部分
などは、汚れが残りやすい場所です。
一方、臭いと一緒に出血もある場合には、歯ぐきに炎症が起きている可能性も考えます。
「臭うから強くこすればよい」と考えるのではなく、臭いと出血、それぞれの原因を分けて考えることが大切です。
使い始めの出血と長く続く出血は意味が違う
これまで歯間清掃をほとんどしていなかった方が歯間ブラシを使い始めると、最初のうちは出血することがあります。
歯垢がたまって歯ぐきに炎症が起きていると、少し触れただけでも出血しやすくなるためです。
適切なサイズの歯間ブラシを正しい方法で使い、歯垢が減って歯ぐきの炎症が落ち着いてくると、出血が少なくなっていく場合があります。
ただし、何週間も同じ場所から出血し続ける場合や、出血量が増えている場合は注意が必要です。
歯周病が進んでいたり、歯間ブラシのサイズや使い方が合っていなかったりする可能性があります。
一箇所だけ臭い・血が出る場合は局所の問題も疑う
お口全体ではなく、「右下の奥歯だけ」「左上の被せ物の間だけ」というように、毎回同じ場所で臭いや出血が起こる場合には、その部分に原因があることがあります。
例えば、
- 歯周ポケットが深くなっている
- 歯石がたまっている
- 歯と歯の間に虫歯がある
- 詰め物や被せ物の境目に汚れが入り込んでいる
- 食べ物が挟まりやすくなっている
といった状態です。
「そこだけ臭う」という情報は、歯科診療でも大切な手がかりになります。
受診するときは、「どこに歯間ブラシを入れたときに臭うのか」を伝えていただくと原因を確認しやすくなります。
歯間ブラシが臭い原因

歯間ブラシを抜いたときに、独特の嫌な臭いを感じることがあります。
「歯間ブラシそのものが臭っているのかな」と思う方もいますが、実際には歯と歯の間から取れた汚れが臭っていることがあります。
食べかすや歯垢が残っている
歯と歯の間には、食べかすや歯垢が残りやすくなっています。
歯ブラシの毛先は、歯の表面には届いても、歯と歯が接している部分やその周囲には十分入りにくいことがあります。
そこに汚れが長時間残ると、細菌によって分解され、嫌な臭いにつながることがあります。
歯間ブラシを通した直後に臭いを感じても、その後のケアで少しずつ臭いが軽くなるのであれば、汚れが原因だった可能性があります。
歯周病や歯ぐきの炎症が関係することがある
歯周病がある場合にも、歯間ブラシから臭いを感じることがあります。
歯周病では、歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットが深くなり、その中に歯垢や歯石がたまりやすくなります。
炎症が強い場合には、出血や腫れ、膿などを伴うこともあります。
特に、
「歯間ブラシを入れると毎回強く臭う」
「出血も一緒にある」
「歯ぐきが腫れている」
という場合には、歯ぐきの炎症が関係している可能性があります。
虫歯・詰め物の不適合などが原因になることもある
臭いの原因が、必ずしも歯周病とは限りません。
歯と歯の間に虫歯ができていたり、古い詰め物や被せ物と歯の間にすき間ができていたりすると、そこに食べかすや歯垢が入り込みやすくなります。
その結果、同じ場所だけ強く臭うことがあります。
特に、
- フロスや歯間ブラシが引っかかる
- 食べ物がよく挟まる
- 詰め物の周辺だけ臭う
- 以前治療した歯の周囲から臭う
といった場合は、詰め物や被せ物の状態も確認した方がよいでしょう。
ドブのような臭いが続くときは自己判断しない
患者さんから「ドブのような臭いがする」「腐ったような臭いがする」と相談されることがあります。
このような表現は主観的なものなので、臭いだけで病気を特定することはできません。
ただし、強い臭いが毎回同じ部分からする場合には、その部分に汚れが多くたまっていたり、歯周病や虫歯などが関係していたりする可能性があります。
強く臭う場所がはっきりしているのであれば、歯間ブラシで何度も強くこするのではなく、歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。
歯間ブラシで血が出る原因と見方
歯間ブラシを使ったときの出血には、大きく分けて「歯ぐきの炎症による出血」と「器具によって傷つけた出血」が考えられます。
対応も異なるため、出血の仕方を見てみましょう。
歯ぐきの炎症で出血しやすくなることがある
歯肉炎や歯周病などによって歯ぐきに炎症があると、少し触れただけでも血が出やすくなります。
この場合には、
- 歯磨きでも血が出る
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯と歯の間がぷっくりしている
- 口の中がねばつく
- 口臭が気になる
などを伴うことがあります。
歯間ブラシを正しく使用して歯垢を取り除くことは大切ですが、炎症が強い場合には歯石除去などの歯科治療が必要なこともあります。
サイズが合わない・強く入れすぎて傷つく場合がある
歯ぐきに炎症がなくても、大きすぎる歯間ブラシを無理に通すと出血することがあります。
歯間ブラシは「太い方がよく取れる」というものではありません。
適切なサイズは、歯と歯の間に無理なく入り、軽い抵抗を感じる程度が目安です。
強く押し込まなければ入らない場合には、大きすぎる可能性があります。
また、ワイヤーの先端を歯ぐきに向かって刺すように入れてしまうと、粘膜を傷つけて出血することがあります。
血は出した方がいいと決めつけない
「歯間ブラシで血が出ても、悪い血だから出した方がいい」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、出血させること自体が目的ではありません。
炎症のある歯ぐきは出血しやすいため、適切な清掃を続けた結果として出血が減っていくことはあります。だからといって、わざと強くこすって出血させる必要はありません。
出血がある場所ほど優しく清掃し、サイズや使い方が合っているかを確認しましょう。
奥歯で血が出る場合は入れ方とサイズを見直す
前歯では問題なく使えるのに、奥歯に歯間ブラシを入れると血が出るという方もいます。
奥歯は見えにくいため、歯間ブラシを歯ぐきに向かって押し込んでしまいやすい場所です。
また、同じお口の中でも歯と歯の間の広さは場所によって違います。
前歯ではちょうどよいサイズでも、奥歯では大きすぎる場合があります。
一本の歯間ブラシですべての場所を無理に清掃しようとせず、必要に応じて複数サイズを使い分けることもあります。
奥歯は見えにくく、無理に入れると傷つけやすい
奥歯の歯間ブラシでは、入り口を見つけようとしてワイヤーを何度も歯ぐきに当ててしまうことがあります。
奥歯用に角度がついた歯間ブラシや、柄が長いタイプを使用すると操作しやすくなることもあります。
どうしても入れにくい部分は無理をせず、歯科医院で実際に使い方を確認してもらうと安心です。
臭い・出血を悪化させない歯間ブラシの使い方

歯間ブラシは、正しく使えば歯と歯の間の清掃に役立つ道具です。
しかし、サイズや使い方が合っていないと、歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。
歯間に合ったサイズを選ぶ
歯間ブラシには複数のサイズがあります。
適切なサイズの目安は、歯と歯の間に無理なく入り、軽い抵抗を感じる程度です。
入れるときに強い力が必要だったり、ワイヤーが曲がったりする場合は、大きすぎる可能性があります。
反対に、小さすぎると歯の面に十分触れず、汚れが残ってしまうことがあります。
歯の場所によってサイズが異なることもあるため、最初は歯科医院で選んでもらうと安心です。
抵抗が強い場所は無理に通さない
「ここに汚れがありそうだから」と無理に押し込むことは避けましょう。
歯と歯が接していて歯間ブラシが入らない場所では、デンタルフロスの方が適している場合があります。
歯間ブラシとフロスは、どちらか一つが優れているというものではありません。
歯と歯のすき間の大きさに合わせて使い分けることが大切です。
奥歯は角度と形状を工夫する
奥歯に使用するときは、頬側からまっすぐ押し込むのではなく、歯と歯の間の向きを意識してゆっくり入れます。
L字型など、奥歯に使いやすい形状の製品もあります。
入った後は強く何度もこする必要はなく、歯の面に沿わせながら数回ゆっくり動かす程度で十分です。
出血させるほど強い力を加える必要はありません。
口臭が改善するまでの考え方
歯間ブラシを使い始めた理由が「口臭が気になるから」という方も多いでしょう。
歯と歯の間の汚れが口臭の原因になっている場合には、歯間清掃を続けることで改善することがあります。
歯間清掃を続けることで口臭が軽くなる場合がある
歯間部に残っていた歯垢や食べかすが減ることで、口臭が軽くなる場合があります。
特に、これまで歯ブラシだけでケアしていた方では、歯間清掃を加えることでお口の中の汚れを減らしやすくなります。
ただし、口臭には舌の汚れ、歯周病、虫歯、口の乾燥などさまざまな原因があります。
歯間ブラシを使えば必ず口臭がなくなる、というわけではありません。
フロスで改善するケースもあるが、合う道具は人によって違う
歯と歯の間が狭い場所では、歯間ブラシよりもデンタルフロスが適していることがあります。
一方、歯周病などによって歯と歯の間が広くなっている部分では、歯間ブラシの方が清掃しやすいことがあります。
「歯間ブラシとフロスのどちらが正解か」ではなく、自分の歯並びや歯ぐきの状態に適したものを選ぶことが重要です。
悪化する場合は使い方か口内トラブルを見直す
歯間清掃を続けているのに、
- 臭いがさらに強くなる
- 出血が増える
- 歯ぐきが腫れてくる
- 痛みが出てくる
という場合には、単なる磨き残し以外の原因がある可能性があります。
また、歯間ブラシのサイズが大きすぎたり、力が強すぎたりして、歯ぐきを傷つけていることも考えられます。
この場合は使用を続けながら我慢するのではなく、一度歯科医院で確認してもらいましょう。
歯医者へ相談した方がよいサイン
歯間ブラシを使ったときに少量の出血があったからといって、必ず緊急で受診しなければならないわけではありません。
ただし、次のような症状がある場合は歯科医院への相談をおすすめします。
出血が長く続く・大量に出る
正しいサイズ・使い方でケアを続けても出血が長く続く場合には、歯ぐきの炎症が強い可能性があります。
また、歯間ブラシを入れるたびにかなり多く出血する場合は、その部分に歯周病や歯ぐきの傷などがないか確認した方がよいでしょう。
「いつから」「どこから」「どの程度出血するのか」を覚えておくと、受診時に伝えやすくなります。
臭いが強い場所が決まっている
毎回同じ歯の間だけ強く臭う場合には、その部分に原因がある可能性があります。
歯周病、虫歯、歯石、詰め物や被せ物の不具合などがないかを確認します。
「奥歯だから見えないし、痛くないから大丈夫」と放置せず、一箇所だけ続く症状は相談してみましょう。
痛み・腫れ・膿っぽさがある
臭いや出血だけでなく、
- 歯ぐきが腫れている
- 押すと痛い
- 噛むと違和感がある
- 膿のようなものが出る
- 歯がぐらつく
- 強い口臭が続く
といった症状がある場合には、早めの受診をおすすめします。
歯周病だけでなく、歯の根の周囲に炎症が起きている場合などもあるため、自己判断せず診察を受けましょう。
よくある質問
歯間ブラシが臭いのは歯周病ですか?
必ずしも歯周病とは限りません。
歯と歯の間に残った食べかすや歯垢が原因で臭うこともあります。
ただし、毎回同じ場所が強く臭う、出血や腫れもある、歯ぐきが下がってきたなどの症状がある場合には、歯周病が関係している可能性があります。
気になる状態が続く場合は、歯科医院で確認してもらいましょう。
歯間ブラシで血が出るのはいつまで様子を見てよいですか?
使い始めで歯ぐきに軽い炎症がある場合には、適切なケアを続けることで出血が減っていくことがあります。
ただし、出血が何週間も続く、量が増える、毎回同じ場所から出るという場合には、様子を見続けず相談してください。
サイズや使い方が合っているかも確認してもらうと安心です。
歯間ブラシで血を出した方がよいというのは本当ですか?
わざと血を出す必要はありません。
炎症がある歯ぐきは清掃の際に出血することがありますが、出血そのものが治療になるわけではありません。
強くこすって血を出すのではなく、適切なサイズの歯間ブラシで優しく清掃することが大切です。
ドブのような臭いがする場合は歯医者に行くべきですか?
一度相談することをおすすめします。
特に同じ場所から毎回強い臭いがする場合は、歯周病や虫歯、詰め物や被せ物の周囲に汚れがたまっているなど、何らかの原因が隠れている可能性があります。
臭いだけでは原因を判断できないため、歯科医院で確認してもらうと安心です。
奥歯に歯間ブラシを入れると血が出るのはなぜですか?
奥歯は見えにくく、歯ぐきに歯間ブラシの先端を当ててしまいやすいためです。
また、歯ぐきに炎症がある場合や、使用している歯間ブラシが大きすぎる場合にも出血します。
無理に押し込まず、サイズや角度を見直してみましょう。
まとめ
歯間ブラシを使ったときに臭いや血が出ると、
「使わない方がいいのかな」
「歯周病になっているのでは?」
「血が出るまでしっかり磨いた方がいいの?」
と不安になる方も多いと思います。
大切なのは、臭うから強くこする、血が出るからもっと出した方がよい、と自己判断しないことです。
歯周病や虫歯、歯石、詰め物や被せ物の状態などを確認することで、原因がわかることがあります。
また、「歯間ブラシの使い方が合っているかわからない」という相談だけでも問題ありません。
お口の中は一人ひとり違うため、適した歯間ブラシのサイズや、フロスとの使い分けも人によって異なります。
歯科医院で実際にサイズや使い方を確認してもらうことで、ご自宅でのケアもしやすくなります。
歯間ブラシを使ったときの臭いや出血は、普段見えにくい歯と歯の間や歯ぐきの状態に気づくきっかけになることもあります。
気になる症状をそのままにせず、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なチェックを上手に組み合わせながら、歯ぐきの健康を守っていきましょう。
この記事の監修者
スカイビル歯科 院長
三島 彰太
日本歯科大学生命歯学部卒業 / 令和6年 スカイビル歯科院長就任
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