知覚過敏の自宅でできる対処方法と歯医者でできる治療法

冷たい飲み物や熱い飲み物を口にしたとき、歯にズキッとした痛みを感じたことはありませんか。
この痛みは、一時的であっても日常生活に不快感をもたらすことがあります。
多くの場合、この症状は「知覚過敏」によるものです。
知覚過敏は、歯の表面の構造や生活習慣によって引き起こされることが多く、適切に対処することで症状を和らげることが可能です。
本記事では、知覚過敏とは何か、その原因、そして自宅でできる対策と歯科医院で行われる治療方法について、詳しく解説していきます。
知覚過敏とは?
知覚過敏とは、歯の内側の組織(象牙質)が露出することで、外部からの刺激に対して歯が過敏に反応し、一時的な痛みを感じる状態を指します。
通常、歯の表面はエナメル質という非常に硬い組織で覆われており、外部の刺激から歯の内部を守っています。
しかし、歯茎の下や歯の根元部分ではエナメル質が薄くなっていたり、歯ぐきが下がったりすることで、象牙質が直接外気や飲食物に触れやすくなることがあります。
象牙質は内部に微細な管(象牙細管)が通っており、これが神経に直接つながっています。
そのため、冷たい飲み物や熱い飲み物、甘いもの、酸性の食べ物に触れると、象牙質の内部の神経が刺激され、鋭い痛みとして感じられるのです。
例えば、夏にアイスクリームを食べた瞬間や、冬に熱いスープを口にした瞬間に「キーン」とした痛みを感じるのが典型的な症状です。
知覚過敏の痛みは一時的で、持続時間は短いのが特徴です。
痛みは一瞬で収まることが多く、しばらくすると通常通りに食事や会話を楽しむことができます。
しかし、痛みが繰り返し起こると、食事の際に特定のものを避けるようになったり、冷たい飲み物や熱い飲み物を避ける習慣がついたりして、生活の質が低下することがあります。
さらに注意が必要なのは、知覚過敏の状態を放置すると、虫歯や歯周病などの病気と重なることで症状が悪化する場合があることです。
象牙質が露出した状態では、虫歯菌や酸性の物質が歯に直接作用しやすく、歯の損傷や炎症のリスクが高まります。
また、知覚過敏は誰にでも起こり得る症状で、特に30代以降の方や歯ぐきが下がっている方、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方に多く見られます。
自覚症状としては冷たいものや熱いものに敏感になる以外に、歯磨きの際に軽く歯ブラシが触れただけで痛みを感じることもあります。
知覚過敏の原因
知覚過敏の原因はさまざまですが、主に以下の要因が考えられます。
これらは単独で起こることもありますし、複数が重なって症状を悪化させることもあります。
原因を理解することで、予防や対策がより効果的になります。
①歯の磨きすぎや硬い歯ブラシの使用
過度なブラッシングや硬い毛の歯ブラシの使用は、歯の表面や歯ぐきを傷つける原因となります。
特に横磨きで強くこするブラッシングは、象牙質を露出させるリスクが高く、知覚過敏を引き起こすことがあります。以下のことに注意が必要です。
- 歯ブラシの毛が硬すぎると、エナメル質の表面が削れやすくなります。
- 力を入れすぎるブラッシングは、歯ぐきが下がり、歯の根元が露出する原因になります。
- 特に歯の根元や歯と歯ぐきの境目はデリケートで、優しく磨く必要があります。
適切なブラッシング方法は、柔らかい毛の歯ブラシを使用し、力を入れずに小さな円を描くように磨くことです。
これにより、歯の表面や歯ぐきを守り、知覚過敏を予防できます。
②歯ぎしりや食いしばり
日中や睡眠中の歯ぎしり、無意識の食いしばりも、知覚過敏の大きな原因の一つです。
強い力が歯にかかることで、歯の表面が削れたり、歯ぐきが下がったりして象牙質が露出します。以下のことに注意が必要です。
- 歯ぎしりや食いしばりは自覚がない場合が多く、気づかないうちに歯を傷めることがあります。
- ストレスや生活習慣、睡眠の質が歯ぎしりの原因になることもあります。
必要に応じて、歯科ではマウスピースによる歯ぎしりの対策を行うことがあります。
早めの対応で、歯の摩耗や知覚過敏の悪化を防ぐことができます。
③歯周病や歯肉退縮
加齢や歯周病の進行によって、歯ぐきが下がることがあります。
これにより、歯の根元部分が露出し、象牙質が直接外部の刺激にさらされるようになります。
歯周病は初期段階では自覚症状が少なく、気づかないうちに進行することがあるため、定期的な歯科検診や歯周病ケアにより、歯ぐきの健康を維持することが結果として、知覚過敏予防につながります。
④酸性の飲食物の摂りすぎ
炭酸飲料、柑橘類、酢の物など酸性の強い食品を頻繁に摂取すると、歯の表面のエナメル質が徐々に溶けやすくなります。
これにより象牙質が露出し、刺激に敏感になりやすくなります。
以下のことに注意が必要です。
- 酸性食品を長時間口に含むことは避ける。
- 飲み物はストローを使用して歯への直接接触を減らす。
- 食後は水で口をゆすぐことで酸性度を下げ、歯の再石灰化を促す。
酸性食品の摂り方を工夫するだけでも、知覚過敏の症状を大幅に軽減することができます。
⑤歯の欠損や虫歯の治療跡
欠けた歯や、虫歯治療で詰め物をした部分も知覚過敏の原因となることがあります。
特に神経に近い部分や象牙質が露出している場合は、冷たい飲食物や甘いものに敏感になりやすくなります。
- 欠けた歯や治療跡は、象牙質への刺激を受けやすいです。
- 詰め物や被せ物の隙間に食べ物が入りやすく、刺激や炎症を引き起こすことがあります。
- 定期的なチェックや必要に応じた補修で、症状の悪化を防ぐことができます。
このように、知覚過敏の原因は日常生活の習慣や口腔内の健康状態が大きく関係しています。
複数の要因が重なることで症状が悪化することもあるため、自宅でのケアと歯科での定期的なチェックの両方が重要です。
自宅でできる知覚過敏対処法
知覚過敏は日常生活のちょっとした工夫で症状を和らげることができます。
ここでは、自宅で実践できる具体的なケア方法を紹介します。
①知覚過敏用歯磨き粉でのケア
知覚過敏用の歯磨き粉には、象牙質の神経への刺激を抑える成分(硝酸カリウムなど)が含まれています。
毎日のブラッシングに取り入れることで、症状を軽減しやすくなります。
使用手順
- 歯ブラシに適量(1cm程度)の歯磨き粉をつける
- 力を入れず、優しく歯と歯ぐきの境目を磨く
- 1日2回、2〜3分程度ブラッシングする
- 磨いた後は少量の水で軽くうがいし、フッ素成分を残す
ポイント
- 使い始めてすぐに効果を感じる場合もありますが、2〜4週間ほど継続することでより効果が高まります。
- 特に歯の根元や歯間部分は丁寧に磨くことが大切です。
②正しいブラッシング習慣の見直し
硬すぎる歯ブラシや強い力で磨くことは、象牙質を露出させる原因となります。
ブラッシング方法を見直すだけでも、知覚過敏の症状を和らげることができます。
手順
- 柔らかい毛の歯ブラシを使用する
- 歯を横にこすらず、縦方向や小さな円を描くように磨く
- 歯と歯ぐきの境目は、歯ブラシを斜め45度に当てて優しく磨く
- 磨き終わったら少量の水で軽くうがい
ポイント
- 力を入れすぎないことで歯や歯ぐきを傷つけず、知覚過敏を予防できます。
- ブラッシングの際は、特に歯の根元や歯間部分を丁寧にケアすることが重要です。
③酸性食品摂取後の口腔ケア
酸性の飲食物は歯の表面を柔らかくし、象牙質への刺激を強めます。
摂取後の工夫次第で、知覚過敏の痛みを軽減できます。
手順
- 炭酸飲料や柑橘類を摂取したら、すぐに水で口をゆすぐ
- その後30分ほど歯磨きを控えて、歯の再石灰化を待つ
- 飲み物はストローで口腔内への直接接触を避ける
ポイント
食後の口腔ケアを習慣化するだけでも、知覚過敏の症状を大幅に和らげることができます。
日常生活のちょっとした工夫や習慣の改善、そして知覚過敏用歯磨き粉の継続使用により、自宅でも十分に症状をコントロールすることが可能です。
症状が強い場合や改善が見られない場合は、歯科での相談と併用することで、より快適な口腔環境を維持できます。
歯医者で行ってる治療
自宅でのケアで改善が難しい場合や、症状が強い場合は歯科医院での治療が有効です。
①フッ素塗布による知覚過敏対策
高濃度フッ素を歯に塗布することで、象牙質やエナメル質を強化し、刺激に対する感受性を抑えます。
手順
- 歯科で歯の表面を清掃
- 高濃度フッ素ジェルやフッ素ラッカーを象牙質露出部分に塗布
- 約4〜5分間フッ素を歯に留める
- 塗布後2〜4時間は飲食を控える
ポイント
定期的に塗布することで、知覚過敏の改善効果が高まります。
②レジン充填(象牙質保護材の充填)
象牙質が露出している部分に樹脂を詰めることで、神経への刺激を防ぎます。
手順
- 患部を清掃し、乾燥させる
- 専用の接着剤を塗布してレジンを充填
- 光で硬化させ、形を整える
- 噛み合わせを確認して調整
ポイント
知覚過敏が強い部分や象牙質露出が目立つ部分に即効性のある治療です。
④歯ぐきの移植や歯肉整形
概要
歯ぐきの退縮が原因で象牙質が露出している場合、歯肉移植や整形を行い歯の根元を覆います。
手順
- 歯ぐきが下がっている部分の周囲の麻酔
- お口の中の健康な歯肉を採取
- 歯茎が下がっている露出部に歯肉を移植し、縫ってして固定
- 数日〜1週間程度で歯肉が安定
ポイント
重度の知覚過敏や審美面の改善を目的として行います。
まとめ
知覚過敏は、多くの方が日常生活で経験するごく身近な症状です。冷たい飲み物や熱い飲み物を口にしたときに、歯にズキッとした痛みを感じることは珍しくありません。
この痛みは一時的であることが多いですが、繰り返すことで生活の質に影響します。
食事や会話、口腔内の清掃に無意識に制限をかけてしまうこともあり、口腔環境の悪化につながる場合があります。
知覚過敏は正しい知識と対策を講じることで、日常生活の中で十分に改善が可能です。
知覚過敏は決して珍しい症状ではありません。正しいケアと専門的なサポートを受けることで、快適で健康な口腔環境を長く維持できます。
痛みに悩まされずに毎日を過ごすために、今のうちからしっかりと対策を始めることをおすすめします。


