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虫歯は早期発見・早期治療が大事~虫歯の進行状況と治療法

最終更新日:2025年12月2日

虫歯とは

虫歯(むしば)は、お口の中の細菌が出す酸によって歯が溶けてしまう病気です。
私たちの口の中にはたくさんの細菌が住んでおり、食べかすの中の糖分(砂糖など)をエサにして酸を作ります。

その酸が、歯の表面の一番かたい部分「エナメル質」を少しずつ溶かしていきます。

虫歯は自然に治ることなく、放っておくと、どんどん進行していき、痛みが出たり、最終的には歯を抜かないといけなくなることもあります。

虫歯の原因

虫歯は単一の原因で起こる病気ではなく、複数の因子が重なって発症します。一般的には、細菌(プラーク)・糖質・歯の質・時間の4つが主要因とされています。

①細菌(特にミュータンス菌)

歯垢(プラーク)に潜む細菌が糖を分解して酸を産生し、酸により歯のカルシウムが溶け出てしまいます。(脱灰)

②糖(食習慣)

糖を取ると口腔内が酸性環境に傾き虫歯の原因となります。ジュース・スポーツ飲料、飴やガムなど糖分を含む間食の頻度が特に重要になってきます。

「量」より摂取頻度(回数)が虫歯リスクを左右します。

③歯の質・唾液

エナメル質の強さ、唾液の量と緩衝能が関与します。

唾液は酸を中和し、再石灰化を助ける重要な防御因子です。
その唾液が、口呼吸・ストレス・薬の影響で唾液の分泌量が低下してしまうと
リスクが上昇してしまいます。

④時間

食後、口腔内は約30分〜1時間酸性に傾きます。
つまり、「ダラダラ食べ続ける」ことで常にお口の中が酸性になり最も危険です。

虫歯の進行状況による症状と治療法

初期虫歯(まだ穴があいていない段階)(CO)

歯の表面が少し溶け始めた、虫歯のごく初期段階です。

この段階では、歯の表面が白く濁ったり、少しざらついた感じに見えることがありますが、まだ痛みはありません。
穴も開いていないため、自分では気づきにくく、歯科検診で初めて発見されることが多いです。

治療法

この段階なら「削らずに治す」ことが可能です。
再石灰化(歯の表面を修復する力)を高めるため、フッ素塗布やフッ素入りの歯みがき粉を使用します。

さらに、正しい歯みがきと食生活の工夫によって、元の健康な歯の状態に戻すことができます。
生活習慣の見直しを行うことで、虫歯の進行を防ぐことができる大切な段階です。

エナメル質の虫歯(C1)

歯の最表面にあるエナメル質に小さな穴ができた状態です。

見た目に黒ずみや茶色の点が出ることがありますが、まだ痛みはほとんど感じません。
初期の段階よりも進行していますが、先ほど同様進行抑制ができますが、放置すると虫歯はどんどん内部に広がっていきます。

治療法

小さい穴の場合、歯を削らず、フッ素塗布やフッ素入りの歯みがき粉で進行抑制ができます。
開いた穴は塞がりませんが、正しい歯みがきと食生活の工夫によって、進行抑制ができます。

ある程度穴が大きくなってしまった場合、虫歯の部分だけを少し削り、レジン(白いプラスチックの詰め物)で埋めます。
治療時間は短く、痛みも少ないことが多いです。

早めに治療をすれば、歯を大きく削る必要がなく、将来的に健康な歯をより長く残せます。また、見た目にも白い素材で修復できるので、見た目の美しさも保つことができます。

象牙質(ぞうげしつ)の虫歯(C2)

虫歯がエナメル質の下にある象牙質まで進んだ状態です。

この段階になると、冷たいものや甘いものがしみる、ズキッとした痛みを感じることがあります。
歯の奥まで進んでいるため、放置すると神経にまで達する可能性があります。

治療法

虫歯の部分を削り、詰め物や被せ物で歯の形と機能を回復します。

範囲が小さい場合は白いレジン(白いプラスチックの詰め物)で埋めますが、大きく進行している場合は金属やセラミック(白い陶材)を使った詰め物や被せ物で治療します。

この段階で治療を行うことは、神経を守るためにも非常に重要です。

神経まで達した虫歯(C3)

虫歯が歯の神経まで進んだ状態で、強い痛みが出ることが多いです。

ズキズキしたり、夜眠れないほど痛むこともあり、温かいものでも痛みを感じることがあります。
神経が炎症を起こしているため、放置すると痛みがさらに強くなり、化膿して腫れることもあります。

治療法

この状態では、虫歯菌に感染した神経を取り除く「根の治療(根管治療)」が必要になります。

神経を取ったあと、歯の中をきれいに消毒して薬を詰め、その上からクラウン(被せ物)をします。
治療には数回通院が必要ですが、歯を抜かずに残すことができることも多いです。

歯根まで達した虫歯(C4)

歯の上の部分がほとんど溶けてなくなり、根っこの部分だけが残っている状態です。

神経は機能していないため、一時的に痛みがなくなることもありますが、根の先に膿がたまり、腫れたり再び痛みが出ることもあります。
また、放置すると周りの歯や顎の骨にまで悪影響を及ぼすことがあります。

治療法

ここまで進行してしまうと、抜歯が必要になることが多いです。

歯を抜いたあとは、ブリッジ・入れ歯・インプラントなどでかみ合わせを回復します。
歯を1本失うと、まわりの歯に負担がかかり、かみ合わせ全体に影響を与えるため、早めの治療が非常に大切です。

虫歯は早期発見・早期治療が大事です

虫歯は、最初のうちはほとんど痛みがないので、「まだ大丈夫」と思って放っておきがちです。

しかし、気づいたときにはもう「C2」や「C3」の段階まで進んでいることも少なくありません。
虫歯が進むほど治療は大がかりになり、治療費も時間もかかります。
また、神経を取った歯はもろくなり、将来的に割れたり欠けたりしやすくなることもあります。

早めの治療で得られるメリットは次の通りです。

①削る量が少なくてすむ

虫歯が小さいうちに治療すれば、削る範囲も最小限で済みます。
歯を削る量が少ないほど、歯の強さや健康な部分を多く残すことができます。

逆に虫歯が進行してしまうと、大きく削る必要があり、歯の構造が弱くなり、将来割れやすくなってしまいます。

②痛みも少なく、治療回数も少ない

初期段階の虫歯は、神経まで達していないため、治療中の痛みも軽く済むことが多いです。

麻酔の量も少なくすみ、歯を削る時間も短くなります。
さらに治療回数も少なくて済むため、通院の負担や時間の節約にもなります。

③費用の負担が軽い

虫歯が小さいうちに治療すれば、使う材料も少なく、治療方法もシンプルで済みます。

逆に進行した虫歯は、根管治療(根の治療)やクラウン(被せ物)など大がかりな治療が必要になり、費用も高くなります。
早期治療は、経済的にも無理なく自分の歯を守ることができる方法です。

④自分の歯を長く保てる

虫歯が進行すると、歯の神経を取ったり、歯そのものを抜かざるを得ないことがあります。

しかし、初期の段階で治療できれば、歯を削る量も少なく、神経も残せる可能性が高くなります。
自分の歯を長く保つことは、食べ物をしっかり噛む力や、歯並び、口元の見た目、全身の健康にもつながります。

虫歯にならないためにおうちでできる予防法

虫歯は、日々の小さな習慣で予防することができます。

毎日の生活でできる虫歯予防のポイントを5つにまとめて詳しく紹介します。
どれもすぐに始められる方法ばかりなので、今日から実践してみてください。

①正しい歯みがきで「虫歯菌を残さない」

毎日の歯磨きは、虫歯予防において基本中の基本です。

歯ブラシで歯の表面をこするだけではなく、歯と歯の間や奥歯の溝、歯と歯ぐきの境目など、汚れがたまりやすい細かい部分まで丁寧に磨くことが大切です。

歯ブラシだけでは歯と歯の間は磨けません。
フロスや歯間ブラシなど補助器具を使用しましょう。

ポイント

  • 食後はできるだけ早く磨く(特に寝る前は必ず)
  • 歯ブラシは軽い力で、小刻みに動かす(1箇所20往復を目安に)
  • 歯と歯の間はデンタルフロスや歯間ブラシを使う
  • フッ素入り歯磨き粉を使うと、歯が強くなる

毎日続けることで、虫歯菌が作るネバネバ汚れ(プラーク)を減らし、虫歯の原因そのものを減らすことができます。

②食生活を工夫して「虫歯菌を喜ばせない」

虫歯菌は、甘いもの(糖分)をエサにして酸を作ります。
酸によって歯の表面が少しずつ溶け、虫歯になります。

「間食が多い」「お菓子をダラダラ食べる」「ジュースや甘い飲み物をちびちび飲む」などの行為は、口の中が常に酸性の状態になり、歯が溶けやすくなってしまいます。

ポイント

  • 間食は1日1~2回までに制限する
  • ジュースや炭酸飲料の代わりに、水やお茶を飲む
  • 食後にキシリトールガムを噛む(唾液が出て歯を守る)
  • よく噛んで食べることで唾液を増やす
  • 甘いものを食べたら、食後にうがいや水を飲む習慣をつける
  • 夜寝る前は特に糖分を控える(寝ている間は唾液が少なく、虫歯になりやすい)

唾液には歯の表面を修復する力や、虫歯菌を洗い流す力があります。
しっかり噛んで、唾液をたくさん出すことが虫歯予防につながります。

③就寝前の口腔ケアで「歯を守る時間をつくる」

寝ている間は唾液の量が減るため、虫歯菌が繁殖しやすくなります。
そのため、就寝前の歯磨きや口腔ケアが特に重要です。

ポイント

  • 就寝前は必ず歯磨きとフロスを行う
  • 舌も軽くブラッシングして細菌を減らす
  • 就寝前に水を少量飲むか、うがいをして口内を清潔に保つ

夜の口腔ケアを丁寧に行うだけで、寝ている間に虫歯菌が増えるのを大幅に防ぐことができます。

④歯を守る生活習慣で「虫歯になりにくい口をつくる」

口の健康は、生活全体のリズムや体調とも関係しています。
疲れやストレスで唾液が減ると、虫歯菌が増えやすくなります。

ポイント

  • 規則正しい生活を心がける
  • 睡眠不足やストレスを避け、体調を整える
  • 水分をこまめにとって口の乾燥を防ぐ
  • 鼻呼吸を意識して口呼吸を減らす
    (口呼吸は歯並びを悪化させ、口が乾燥するので虫歯になりやすい)
  • よくかむ食事で唾液の分泌を促す

生活習慣を整えることで、虫歯菌が繁殖しにくい口内環境を作ることができます。

⑤家でできる補助的ケアで「歯を強くする」

毎日の歯みがきに加えて、家庭でできる補助的ケアを取り入れると、虫歯予防の効果がさらに高まります。

ポイント

  • フッ素入りジェルや洗口液を使って歯の表面を強化
  • キシリトール入りおやつやガムを習慣にする
  • 歯の溝が深い場合は、フッ素コーティングやシーラント(家庭用ジェルや歯科での処置)を活用
  • 舌クリーナーで舌の汚れを取り、口臭や細菌の増殖を抑える

これらの補助的ケアを組み合わせることで、虫歯になりにくい口をつくり、毎日のケアの効果をさらに高めることができます。

まとめ

虫歯は誰にでも起こる、非常に身近な病気ですが、早く見つけて早く治すことで、ほとんどが軽い治療で済みます。

「毎日の歯磨き」と「食習慣の見直し」、そして「定期的な歯科検診」
この3つを習慣にすることで、虫歯を「できてから治す」から「できる前に防ぐ」へと変えることができます。

さらに、虫歯を防ぐことは、歯だけでなく、口全体の健康や全身の健康にもつながります。

健康な歯は、毎日の食事をおいしく楽しむための大切な財産であり、笑顔や会話の楽しさにも直結します。

今日からできる小さなケアを毎日続けることで、一生自分の歯で快適に食べて笑って過ごせる未来を守りましょう。