最終更新日:2026年5月22日
歯茎が下がる原因とは?自力で戻せるか・治療法と予防策を解説
「歯が長く見えるようになった」「冷たいものがしみる」「歯と歯の間にすき間ができた気がする」このような変化がある場合、歯茎が下がる歯肉退縮が起きている可能性があります。
歯茎が下がる原因には、歯周病、強すぎる歯磨き、歯ぎしり・食いしばり、加齢、噛み合わせの負担などが関係することがあります。
一度下がった歯茎は自然に元通りに戻りにくいため、早めに原因を確認し、進行を防ぐことが大切です。
この記事では、歯茎が下がる主な原因、自力で戻せるのか、歯科医院で行う治療法、日常生活でできる予防策について歯科医師がわかりやすく解説していきます。

歯茎が下がるとは?歯肉退縮の基本
歯茎が下がるとは、歯の周りを覆っている歯肉が少しずつ後退し、歯の根元が見えてくる状態です。
初期の段階では痛みが少なく、自分では気づきにくいこともあります。
しかし、歯茎が下がった部分は自然に元の位置へ戻りにくく、放置すると症状が進行する場合があります。
まずは、歯茎が下がることで起きるトラブルについて解説していきます。
①歯が長く見える
歯茎が下がると、これまで歯茎に覆われていた部分が見えるようになり、歯が以前より長くなったように感じることがあります。
前歯で起こると見た目の変化に気づきやすく、笑ったときの印象が気になる方もいます。
②歯の根元が露出する
歯茎が下がることで、歯の根元が露出します。
歯の根元は、歯の表面を覆うエナメル質よりも刺激に弱く、虫歯や摩耗が起こりやすい部分です。
そのため、歯茎が下がった状態を放置すると、根元の虫歯や知覚過敏につながることがあります。
③冷たいものがしみる
歯の根元が露出すると、冷たい飲み物や歯ブラシの刺激でしみることがあります。
これは知覚過敏として現れることが多く、歯茎が下がっているサインのひとつです。
④歯と歯の間にすき間ができる
歯茎が下がると、歯と歯の間の歯肉が痩せたように見え、すき間が目立つことがあります。食べ物が挟まりやすくなったり、見た目が気になったりすることもあります。
特に、以前より歯間ブラシが入りやすくなった、歯と歯の間が黒く見えるようになった場合は、歯肉退縮が進んでいる可能性があります。
歯茎が下がる原因
歯茎が下がる原因はひとつではありません。主な要因として、次のようなものがあります。
- 歯周病
- 歯磨きの仕方
- 歯ぎしり・食いしばり
- 噛み合わせ
- 歯並び
- 加齢
原因によって対策や治療法が変わるため、まずは何が影響しているのかを確認することが大切です。
ここでは、歯茎が下がる原因について解説していきます。

①歯周病で歯茎や歯槽骨が下がる
歯茎が下がる原因として多いのが歯周病です。
歯周病は、歯ぐきの炎症だけでなく、歯を支えている歯槽骨が少しずつ溶けていく病気です。
歯槽骨が下がると、それに伴って歯茎も下がり、歯の根元が見えるようになります。
歯茎の腫れや出血、口臭、歯が浮く感じ、歯が長く見えるといった症状がある場合は、歯周病が関係している可能性があります。
②強すぎる歯磨きで歯茎に負担がかかる
歯をきれいにしようとして、強い力でゴシゴシ磨いていると、歯茎に負担がかかります。
特に、硬い歯ブラシを使っている場合や、横磨きを強く行っている場合は、歯茎が傷つき、少しずつ下がる原因になることがあります。
また、歯の根元が削れて知覚過敏を起こすこともあります。
歯磨きは力を入れるほどよいわけではなく、適切な力でやさしく磨くことが大切です。
③歯ぎしり・食いしばりで歯に力がかかる
歯ぎしりや食いしばりによって歯に強い力がかかると、歯や歯茎、歯を支える骨に負担がかかります。
その結果、歯茎が下がったり、歯の根元がしみたり、歯が揺れるように感じたりすることがあります。
特に、朝起きたときに顎がだるい、歯が痛い、歯のすり減りがある場合は、無意識の歯ぎしり・食いしばりが関係している可能性があります。
④噛み合わせや歯並びの影響
噛み合わせのバランスが悪いと、一部の歯に力が集中しやすくなります。
また、歯並びによって歯が外側に傾いている場合、その部分の歯茎が薄くなり、歯肉退縮が起こりやすくなることがあります。
「特定の歯だけ歯茎が下がっている」「前歯の一部だけ根元が見える」という場合は、噛み合わせや歯並びの影響も確認する必要があります。
⑤若年層の歯肉退縮
歯茎が下がる症状は、高齢の方だけに起こるものではありません。
若い方でも、強い歯磨き、歯並び、矯正治療後の変化、歯ぎしり・食いしばりなどによって歯肉退縮が起こることがあります。
若年層の場合、歯周病が進行していなくても、歯茎の薄さや歯の位置によって一部の歯茎が下がることがあります。早い段階で原因を確認し、進行を防ぐことが大切です。
⑥矯正治療・加齢・生まれつきの歯茎の薄さ
矯正治療によって歯を動かすことで、歯の位置や歯茎の厚みによっては歯肉退縮が目立つことがあります。
特に、もともと歯茎が薄い方や、歯が骨の外側に位置しやすい方は注意が必要です。
また、加齢に伴って歯茎が少しずつ下がることもあります。
さらに、生まれつき歯茎が薄い方は、歯磨きの刺激や噛み合わせの力の影響を受けやすく、歯茎が下がりやすい傾向があります。
歯茎が下がる原因は複数重なっていることも多いため、見た目だけで判断せず、歯科医院で歯周病・歯磨きの癖・噛み合わせ・歯並びなどを総合的に確認することが大切です。
歯茎が下がると自力で戻せる?
歯茎が下がっていることに気づくと、「自分でマッサージすれば戻るのでは?」「歯磨きを変えれば元に戻るのでは?」と考える方もいます。
しかし、歯茎が下がる歯肉退縮は、一度起こると自然に元の位置まで戻ることは難しい場合が多いです。
歯肉退縮は自然回復しにくい
歯茎が下がって歯の根元が露出した状態は、自然に元通りになることはあまり期待できません。
特に、歯周病によって歯を支える骨が下がっている場合や、歯茎そのものが薄くなっている場合は、自然回復が難しくなります。
そのため、「放っておけば戻るだろう」と考えるのではなく、まずは歯茎が下がった原因を確認することが大切です。
マッサージで期待できること・できないこと
歯茎のマッサージは、血行を促したり、歯茎への意識を高めたりする目的で行われることがあります。
ただし、マッサージだけで下がった歯茎を元の位置に戻すことは基本的に困難です。
また、強くこすりすぎると、かえって歯茎に負担をかけてしまうことがあります。
歯茎を傷つけないよう、自己流で強くマッサージするのは避けましょう。
「戻す」より進行を止めることが重要
歯茎が下がった場合は、元に戻すことだけを考えるのではなく、これ以上進行させないことが重要です。
原因に合わせて、次のような対応が必要です。
- 歯磨きの力を見直す
- 歯周病を治療する
- 歯ぎしり・食いしばりへの対策を行う
- 噛み合わせを確認する
歯茎の下がり方によっては、知覚過敏の処置や、歯茎の移植などの治療が検討される場合もあります。
歯が長く見える、根元がしみる、歯と歯の間のすき間が気になる場合は、早めに歯科医院で相談しましょう。
歯茎が下がる治療法
歯茎が下がった場合の治療は、原因や進行度によって異なります。
見た目の改善だけでなく、知覚過敏や虫歯・歯周病のリスクを抑えるためにも、まずは歯科医院で状態を確認することが大切です。
ここでは、歯茎が下がってしまった時の治療法について解説していきます。
①歯周病検査とクリーニング
歯茎が下がる原因として歯周病が関係している場合は、まず歯周病の検査を行います。
歯周ポケットの深さ、歯ぐきの出血、歯の揺れ、歯を支える骨の状態などを確認します。
歯石やプラークが原因で炎症が起きている場合は、クリーニングや歯石除去を行い、歯茎の炎症を抑えていきます。
歯周病の進行を止めることが、歯茎のさらなる退縮を防ぐために重要です。
②ブラッシング指導
強すぎる歯磨きや間違った磨き方が原因で歯茎が下がっている場合は、ブラッシング方法の見直しが必要です。
硬すぎる歯ブラシや強い横磨きは、歯茎や歯の根元に負担をかけることがあります。
歯科医院で、歯茎を傷つけにくい歯ブラシの選び方や、力を入れすぎない磨き方を確認してもらうことをおすすめします。
③知覚過敏への処置
歯茎が下がって歯の根元が露出すると、冷たいものや歯ブラシの刺激でしみることがあります。
このような知覚過敏の症状がある場合は、しみ止めの薬を塗布したり、歯の根元を保護したりする処置を行うことがあります。
症状が軽い場合は、知覚過敏用の歯磨き粉を併用しながら経過を見ることもあります。
④噛み合わせ・歯ぎしりの確認
歯ぎしりや食いしばり、噛み合わせの偏りによって、一部の歯に強い力がかかると歯茎が下がりやすくなることがあります。
そのため、歯のすり減り、噛み合わせのバランス、朝起きたときの顎のだるさなどを確認します。
必要に応じて、マウスピースを使い、歯や歯茎にかかる負担を軽減することもあります。
⑤状態によっては歯茎の再生治療や移植を検討する
歯茎の下がりが大きい場合や、見た目・知覚過敏が強く気になる場合は、歯茎の再生治療や移植を検討することがあります。
歯茎の厚みを増やしたり、露出した歯の根元を覆ったりすることで、見た目や症状の改善を目指します。
ただし、すべてのケースで適応になるわけではなく、歯周病の状態、歯の位置、歯茎や骨の厚みなどを確認したうえで判断します。
歯茎が下がる治療の費用・保険適用
歯茎が下がる治療の費用は、原因や治療内容、保険診療で対応できる範囲かどうかによって変わります。
歯周病の治療や知覚過敏への処置などは保険診療で対応できる場合がありますが、見た目の改善を目的とした治療や一部の再生治療は自費診療になることがあります。
保険適用になる処置と自費治療の考え方
歯茎が下がる原因が歯周病や知覚過敏に関係している場合、検査・歯石除去・クリーニング・ブラッシング指導・しみ止めの処置などは、保険診療で対応できることがあります。
一方で、歯茎を元の位置に近づけたい、見た目を改善したい、歯茎の厚みを増やしたいといった目的の治療は、自費診療になる場合があります。
保険診療は、病気の治療や機能回復を目的とする範囲が中心です。
自費診療では、見た目や仕上がり、使用する材料・治療方法の選択肢が広がることがあります。
歯肉移植・再生療法などで費用が変わる
歯茎の下がりが大きい場合や、根元の露出が目立つ場合は、歯肉移植や再生療法などを検討することがあります。
歯肉移植は、歯茎の厚みを増やしたり、露出した根元を覆ったりする目的で行う治療です。
再生療法は、歯周組織の回復を目的として行われることがあります。
これらの治療は、歯茎の状態、治療する本数、使用する材料、治療方法によって費用が変わります。
また、医院によって対応できる治療や費用が異なるため、事前に治療計画と見積もりを確認することが大切です。
見た目の改善目的か機能改善目的かで変わる
歯茎が下がる治療は、目的によって保険適用の可否や費用が変わることがあります。
たとえば、歯周病による炎症を抑える、知覚過敏を改善する、虫歯や歯周病の進行を防ぐといった機能改善目的の場合は、保険診療で対応できるケースがあります。
一方で、歯が長く見えるのを改善したい、前歯の見た目を整えたい、審美的に歯茎のラインを整えたいといった目的の場合は、自費診療になることがあります。
歯茎が下がった原因や治療の目的によって選択肢は異なります。
費用だけで判断せず、まずは歯科医院で検査を受け、自分の状態に合った治療方法を相談しましょう。
歯茎が下がるときの歯磨き粉
歯茎が下がっている場合、歯磨き粉だけで下がった歯茎を元に戻すことは基本的にできません。
ただし、歯磨き粉の選び方によって、知覚過敏の症状をやわらげたり、虫歯・歯周病の予防をサポートしたりすることはできます。
歯磨き粉は進行予防・症状緩和が中心
歯茎が下がった部分は、歯の根元が露出していることが多く、冷たいものがしみたり、虫歯になりやすくなったりします。
歯磨き粉は、下がった歯茎を戻すものではなく、主に症状をやわらげることや、これ以上悪化させないための予防を目的に使います。
歯周病予防成分やフッ素配合のものを選ぶことで、日常のケアを補助できます。
知覚過敏用歯磨き粉が補助になることがある
歯茎が下がって冷たいものがしみる場合は、知覚過敏用の歯磨き粉が役立つことがあります。
知覚過敏用歯磨き粉は、歯の神経に刺激が伝わりにくくなるようサポートし、しみる症状をやわらげる目的で使用されます。
ただし、しみる原因が虫歯や歯のひび、歯周病によるものの場合は、歯磨き粉だけでは改善しません。
症状が続く場合は、歯科医院で原因を確認しましょう。
研磨剤や強いブラッシングに注意する
歯茎が下がっている方は、研磨力の強い歯磨き粉や、力を入れすぎたブラッシングに注意が必要です。
歯の根元は刺激に弱いため、強く磨きすぎると歯茎や歯の表面に負担がかかり、知覚過敏や歯肉退縮が悪化することがあります。
歯ブラシはやわらかめを選び、歯磨き粉を多くつけすぎず、やさしい力で丁寧に磨くことが大切です。
歯磨き粉で対策するだけでなく、正しい磨き方を歯科医院で確認してもらうと安心です。
歯茎が下がるのを防ぐ対策
歯茎が下がるのを防ぐためには、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的な確認が大切です。
一度下がった歯茎は自然に戻りにくいため、早い段階で原因を見つけ、進行を防ぐことが重要です。
ここでは歯茎が下がるのを防ぐ対策について解説します。

①力を入れすぎない歯磨き
強い力でゴシゴシ磨くと、歯茎に負担がかかり、歯肉退縮の原因になることがあります。
特に、硬い歯ブラシを使っている方や、横磨きの力が強い方は注意が必要です。
歯磨きは、強く磨くよりも、毛先を歯と歯茎の境目にやさしく当てて、細かく動かすことが大切です。歯ブラシはやわらかめを選び、力を入れすぎないように意識しましょう。
②歯間ブラシやフロスを正しく使う
歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落としきれないことがあります。
歯間ブラシやフロスを正しく使うことで、歯周病の予防につながり、歯茎が下がるリスクを減らすことができます。
ただし、サイズの合わない歯間ブラシを無理に入れると、歯茎を傷つけることがあります。自分に合ったサイズや使い方は、歯科医院で確認してもらうと安心です。
③歯ぎしり・食いしばりを確認する
歯ぎしりや食いしばりによって歯に強い力がかかると、歯や歯茎、歯を支える骨に負担がかかります。
その結果、歯茎が下がったり、歯の根元がしみたりすることがあります。
朝起きたときに顎がだるい、歯が痛い、歯がすり減っている、日中に無意識に噛みしめている場合は、歯ぎしり・食いしばりが関係している可能性があります。
必要に応じて、マウスピースなどで歯への負担を減らすこともあります。
④定期検診で歯周病を早めに見つける
歯茎が下がる原因のひとつに歯周病があります。
歯周病は初期の段階では痛みが少なく、自分では気づきにくい病気です。
定期検診では、歯石やプラークの除去だけでなく、歯周ポケットの深さ、歯茎の出血、歯を支える骨の状態などを確認できます。
早めに歯周病を見つけて治療することで、歯茎の退縮や歯のぐらつきを防ぎやすくなります。
よくある質問
下がった歯茎は自力で戻りますか?
一度下がった歯茎は、自然に元の位置まで戻ることは難しい場合が多いです。
特に、歯周病で歯を支える骨が下がっている場合や、歯茎が薄くなっている場合は、自力で戻すことは困難です。
大切なのは、下がった歯茎を無理に戻そうとするよりも、原因を確認してこれ以上進行させないことです。
歯茎が下がる歯磨き粉は効果がありますか?
歯磨き粉だけで下がった歯茎を戻すことは基本的にできません。
ただし、知覚過敏用の歯磨き粉やフッ素配合の歯磨き粉は、しみる症状の緩和や虫歯予防の補助になることがあります。
症状が続く場合は、歯磨き粉だけで対応せず、歯科医院で原因を確認しましょう。
歯茎を戻す治療は保険適用になりますか?
歯周病治療や知覚過敏への処置などは、保険診療で対応できる場合があります。
一方で、歯茎の見た目を整える治療や、歯肉移植・再生療法などは、自費診療になることがあります。
保険適用になるかどうかは、治療の目的やお口の状態によって変わります。まずは検査を受け、治療内容と費用を確認することが大切です。
歯肉退縮を防ぐセルフケアはありますか?
歯肉退縮を防ぐには、次のようなセルフケアが大切です。
- 毎日の歯磨きと歯科医院での定期検診を続ける
- 力を入れすぎず、やわらかめの歯ブラシでやさしく磨く
- 歯間ブラシやフロスを正しく使う
- 歯ぎしり・食いしばりの有無を確認する
- 歯周病を早めに見つける
自分に合ったケア方法は、歯科医院で確認してもらうと安心です。
まとめ
歯茎が下がる原因には、歯周病、強すぎる歯磨き、歯ぎしり・食いしばり、噛み合わせや歯並び、加齢、歯茎の薄さなど、さまざまなものがあります。
一度下がった歯茎は自然に元の位置へ戻りにくいため、早めに原因を確認し、これ以上進行させないことが大切です。放置すると、冷たいものがしみる、歯の根元が虫歯になりやすい、歯と歯の間のすき間が目立つなどのトラブルにつながることがあります。
「歯が長く見える」「歯の根元がしみる」「歯茎が痩せた気がする」「歯と歯の間にすき間ができた」などの症状がある方は、自己判断で様子を見ず、早めに歯科医院で相談しましょう。
この記事の監修者
スカイビル歯科 院長
三島 彰太
日本歯科大学生命歯学部卒業 / 令和6年 スカイビル歯科院長就任
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