ジルコニアセラミックとは?メリット・デメリットから他素材との違いまで歯科医が徹底解説
皆さんこんにちは。
矯正治療、予防、審美治療、インプラント治療など幅広い診療を行う横浜の歯科医院、スカイビル歯科です。
歯の見た目や耐久性を重視した治療をお考えですか?
最近注目されている「ジルコニアセラミック」は、強度と美しさを両立した素材として人気です。
今回は、ジルコニアセラミックとは何か、そのメリット・デメリット、そして他の素材との違いを、歯科医の視点からわかりやすく解説します。
ジルコニアセラミックとは?特徴をわかりやすく解説
ジルコニアセラミックとは、「ジルコニアの内冠(内側のフレーム)に、外側からセラミックを焼き付けた被せ物」のことです。
ジルコニアとセラミックの“いいとこ取り”をした素材で、強度と美しさのバランスに優れ、現在非常に人気の高い審美治療用クラウンです。
ジルコニアとは?その基本的な特徴
ジルコニア(正式名称:酸化ジルコニウム)は、人工ダイヤモンドにも使われる高強度なセラミック素材です。歯科では主にクラウン(被せ物)やブリッジに使用されます。
特徴・効果としては、以下のものがあげられます。
- 金属を一切使わず、白くて硬く、体にやさしい
- 医療用人工関節やスペースシャトルの断熱材にも使われる耐久性と生体親和性
- セラミックの中でもトップクラスの強度を持つ「高強度系セラミック」
ジルコニアの種類と特徴
ジルコニアには、目的や見た目・強度のバランスに応じていくつかの種類があります。以下に代表的な種類と特徴をまとめます。
種類 | 特徴・用途 | 審美性 | 強度 | 割れにくさ | 主な使用部位 |
---|---|---|---|---|---|
フルジルコニア(単層) | ジルコニアのみで構成、強度最優先タイプ、透明感は劣る | △ | ◎ | 非常に高い | 奥歯・ブリッジ・インプラント |
ジルコニアセラミック(二層) | ジルコニアの上にセラミックを焼き付けた審美タイプ、見た目が自然 | ◎ | ◯ | チッピング(欠け)に注意が必要 | 前歯・小臼歯 |
ステインジルコニア | 色調を調整できるタイプ(グラデーション・着色加工済み) | ◯ | ◎ | 非常に高い | 前歯〜奥歯 |
3Y-TZP(第一世代) | 古くからある高強度タイプ、硬く、やや不透明 | △ | ◎ | 非常に高い | 奥歯やブリッジに多用 |
5Y-TZP(高透過タイプ) | 最新の審美性重視型、e.maxに近い色調と透明感がある | ◎ | ◯〜△ | やや割れやすい | 前歯中心 |
ジルコニアが選ばれる理由:見た目・強度・アレルギー対策
ジルコニアが歯科治療で広く使われる理由を、以下の3つのポイントで解説します。
1. 見た目:白くて自然な仕上がり
ジルコニアは白く美しいセラミック素材で、金属と異なり光を反射しにくく、自然な見た目に仕上がります。特に歯茎が黒ずまないため、笑ったときの見た目が自然です。
ただし、透明感ではe.maxなどのガラス系セラミックにやや劣るため、前歯では「ジルコニアセラミック」が選ばれることが多いです。
2. 強度:割れにくく、長持ちする
ジルコニアはセラミックの中でもトップクラスの強度を持ち、奥歯やブリッジのような強い力がかかる場所でも割れにくいのが特徴です。
耐摩耗性や耐腐食性にも優れており、インプラントの上部構造や義歯の内冠など、耐久性が求められる治療で重宝されます。
3. アレルギー対策:金属を使わない“メタルフリー”
ジルコニアは100%金属を含まないセラミック素材で、金属アレルギーのリスクがゼロ。従来のメタルボンドでは金属の溶け出しによる歯茎の黒ずみや体への影響が問題になることもありましたが、ジルコニアなら安心です。
ジルコニアセラミックのメリットとデメリット
ジルコニアセラミックは「ジルコニアの強度」と「セラミックの美しさ」を兼ね備えた優れた素材ですが、メリットだけでなくデメリットもあります。
メリット
① 自然な白さと透明感で見た目が美しい
表面にセラミック(ポーセレン)を焼き付けているため、光の透過性が高く、天然歯に近い透明感を再現できます。色調やグラデーションも自然で、患者さん一人ひとりの歯の色や形に合わせられます。
② 金属を使わないのでアレルギーの心配がない
酸化ジルコニウムを使用しており、金属イオンを含まないためアレルギー反応を起こしません。医療用人工関節やインプラントの部材にも使われるほど生体親和性が高い素材です。
③ 強度が高くて割れにくい
ジルコニアセラミックは非常に強度が高く、ある程度の咬合力がかかる部位にも安心して使用できます。
デメリット
- 対合歯がすり減ることがある
非常に硬いため、噛み合う歯を擦り減らす可能性があります。 - 調節がやや難しい
硬すぎてチェアサイドでの微調整が困難な場合があります。 - 費用が高額
保険が効かないため、ある程度の費用が必要になります。詳細は医院にご相談ください。
他の素材との比較:ジルコニア vs e.max vs メタルボンド
ジルコニア、e.max、メタルボンドは、いずれも歯科の被せ物に使われる素材ですが、審美性や耐久性に違いがあります。
比較項目 | ジルコニア | e.max(オールセラミック) | メタルボンド |
---|---|---|---|
見た目(審美性) | やや不透明(オールセラミックと比べて) | 透明感が高く自然 | 内面の金属が透けることも |
強度 | 非常に高い | 自然歯に近く程よい強度 | 高い(※金属フレームのため) |
適応部位 | 奥歯・ブリッジ・インプラント | 前歯・小臼歯 | 奥歯・長いブリッジ・強度重視の部位 |
金属使用 | なし(メタルフリー) | なし(メタルフリー) | あり(アレルギーや歯ぐき変色の原因となることも) |
透明感・色調 | やや白っぽい印象 | ナチュラルで美しい | 不透明気味で自然感は劣る |
アレルギー対応 | 安全 | 安全 | 金属アレルギーのリスクあり |
費用相場(目安) | 10〜15万円前後/1本(医院により異なる) | 8〜13万円前後/1本(医院により異なる) | 8〜13万円前後/1本(医院により異なる) |
寿命目安 | 約10〜15年 | 約7〜10年 | 約8〜12年 |
場所別おすすめ素材
以下に、部位ごとにおすすめの素材を比較しました。
使用部位 | 主な力のかかり方 | おすすめ素材 | 理由・ポイント |
---|---|---|---|
前歯(1〜3番) | 審美性重視、咬合力弱め | e.max、ジルコニアセラミック | 透明感と自然な色調が出しやすい。ジルコニアセラミックは強度も高く安心 |
小臼歯(4〜5番) | 中程度の力、見た目も重要 | e.max、フルジルコニア(審美タイプ) | 審美性と強度のバランスが必要。e.maxでも割れリスクは少ない |
大臼歯(6〜7番) | 強い咬合力が加わる | フルジルコニア、ジルコニアセラミック | 耐久性・割れにくさ最優先。セラミック系ではジルコニアが最も強い |
ブリッジ(3本以上) | 広範囲に咬合力がかかる | フルジルコニア、メタルボンド | ジルコニアなら軽量で高強度。負荷が高い場合はメタル補強も有効 |
インプラント上部構造 | 直接強い力が加わる | ジルコニア(フルorセラミック) | 割れにくさと摩耗耐性に優れる。インプラントは金属アレルギー対応も重視 |
金属アレルギーの方 | – | ジルコニア、e.max | いずれもメタルフリーで安心。歯茎の黒ずみや炎症も起きにくい |
ジルコニアセラミックのよくある質問
前歯にもジルコニアを使えますか?
はい、前歯にも適応できます。特に「審美ジルコニア(高透過ジルコニア)」なら、自然な仕上がりが可能です。従来のジルコニアは不透明で「白すぎ・のっぺり」と見えることもありましたが、近年ではe.max並みに自然な色調が再現できるようになっています。
見た目の白さはホワイトニングと同じくらいですか?
ホワイトニングは天然歯を漂白する治療で、ジルコニアは人工の被せ物で色を自在に調整可能です。ホワイトニングと同等以上の白さを実現でき、患者さんの希望に合わせて色や明るさを調整できます。
まとめ
ジルコニアセラミックは、強度・見た目・安全性の三拍子がそろった高機能素材です。従来の金属を使った被せ物に比べ、見た目が自然で歯ぐきも黒くならず、割れにくく長持ちします。
前歯から奥歯、インプラントまで幅広く対応できる素材として、セラミック治療の主流となりつつあります。「私の場合はジルコニアが合っているの?」「前歯と奥歯で使い分けた方がいいの?」といった疑問がある方は、ぜひご相談ください。
お口の状態やご希望に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。横浜駅東口から徒歩3分(駅直結)のスカイビル歯科まで、ぜひお気軽にお越しください。